[最終更新日]  [公開日] 2019/10/14

衛生管理者の受験資格とは?試験難易度と合格率について

衛生管理者は、職場の労働災害や健康障害を防止し、従業員の健康を守る役割があります。この衛生管理者として業務が行えるのは、国家資格である衛生管理者免許を所有した従業員だけです。

衛生管理者資格の受験者数は年々増加傾向にあり、最近では年間で10万人ほどが受験をしています。そのうち約5割の人が資格取得できているので、合格率の高い資格ともいえます。

これほど人気なのは「衛生管理者の求人募集が安定している」ということも背景にありますし、工場や製造業以外にも情報通信業、金融業、小売業などでも幅広く活躍できる国家資格だからです。

衛生管理者の資格は

  • キャリアップで高収入が期待できる
  • 安定的な求人がある
  • 幅広い業界へ転職ができる
  • 資格の有効期限がなく更新手続き不要

と、資格取得後のメリットも多くあります。

衛生管理者免許を取得するための受験資格、試験の合格率や勉強方法についてまとめています。

衛生管理者の受験資格

衛生管理者の受験には、受験資格があります。ポイントは

  1. 最終学歴
  2. 実務経験の年数

の2つで、最終学歴によって実務経験が何年必要なのかが変わってきます。

この2点を証明するものとして、「最終学歴の卒業証明書」と「事業者証明書」を提出しなければなりません。

受験資格一覧
最終学歴 実務経験 提出書類
大学卒業卒業 1年以上 ・卒業証明書(原本)または卒業証書の写し
・事業者証明書
短期大学卒業
高等専門学校卒業
高等学校卒業 3年以上
その他 10年以上 事業者証明書

上記の表は分かりやすく一部を抜粋しただけですので、より詳しい受験資格の内容については公式サイトをご確認ください。

安全衛生技術試験協会:衛生管理者第一種及び第二種 受験資格

衛生管理者には第一種と第二種がありますが、受験資格に違いはありませんし、段階を踏む必要もありません。

受験資格の要件を満たせば、はじめての受験で一種を受けることもできます。

衛生管理者の実務経験とは?

衛生管理者の受験資格である「労働衛生の実務経験」とは、いったいどのような業務でしょうか。

主に以下のような業務内容が実務経験として該当します。

  • 健康診断の実施
  • 作業環境の衛生調査
  • 施設の衛生改善
  • 労働衛生保護具・救急用具等の点検・整備
  • 衛生教育の企画実施
  • 労働衛生の統計作成
  • 労働衛生に関わる作業主任者
  • 労働衛生に関わる試験研究
  • 保健所で試験、研究に従事
  • 建築物環境衛生管理者
  • 看護師・准看護師の業務
  • 自衛隊の衛生担当者、衛生隊員

衛生管理者の実務経験とは、衛生管理に特化した専門業務ということではありません。上記にあるような安全衛生に関わる業務と実務の兼任でも、資格要件として認められています。

衛生管理者の受験料

第一種、第二種ともに6,800円(非課税)です。

受験申請書にとじ込まれている払込用紙を用いて、銀行または郵便局で払い込みを行います。

衛生管理者の合格率と難易度

衛生管理者は年間で10万人が受験し、平均すると合格率は50%前後となっています。

合格率だけで資格の難易度は測れませんが、合格者の人数も数万人いることから難易度は高くないといえます。

気になるのは、第一種、第二種ともに合格率が年々減少傾向にあることです。

これは試験の難易度が上がっているのか、それとも受験者数が増えたことによる影響なのかはわかりません。

それでも合格率は5割前後あるので、しっかり受験対策を行えば資格取得のチャンスは大いにあります。

二種の合格率は約59%

第二種衛生管理者第の合格率は5年間で52%~69%です。平均すると59%です。

二種は健康被害への影響が高くなる「有害業務以外」で、衛生管理者として選任を受けられます。

有害業務とは、化学工場や坑内労働、極端な暑熱・寒冷な場所など、危険を伴う業務のことを指しています。

第二種衛生管理者の年代別の合格率
実施年 受験者数 合格者数 合格率
2018年 32,985 17,271 52%
2017年 31,537 17,302 54%
2016年 29,186 16,189 55%
2015年 25,716 16,983 66%
2014年 25,069 17,365 69%

二種の試験内容と合格基準

合計で60%以上の得点、さらに各科目ごとに40%以上の得点が合格基準となります。

第二種衛生管理者の試験科目
試験科目 範囲 出題数 配点
労働衛生 有害業務に係るものを除く 10問 100点
関係法令 有害業務に係るものを除く 10問 100点
労働生理 10問 100点
第二種衛生管理者の試験時間
受験者 開始から終了 試験時間
一般 13:30~16:30 3時間
科目免除者 13:30~15:45 2時間15分

一種の合格率は約49%

第一種衛生管理者第の合格率は5年間の平均で49%となります。2014年の合格率は56%ありましたが、2018年になると44%に減少しています。

一種のほうが受験者数は多く、有害業務でもどこでも衛生管理者として働けることが人気の理由にもなっています。

第一種衛生管理者の年代別の合格率
実施年 受験者数 合格者数 合格率
2018年 67,080人 29,631人 44%
2017年 65,821人 29,636人 45%
2016年 61,500人 28,003人 45%
2015年 55,129人 30,587人 55%
2014年 53,111人 29,922人 56%

一種の試験内容と合格基準

合計で60%以上の得点、さらに各科目ごとに40%以上の得点が合格基準となります。

第一種衛生管理者の試験科目
試験科目 範囲 出題数 配点
労働衛生 有害業務に係るもの 10問 80点
有害業務に係るもの以外のもの 7問 70点
関係法令 有害業務に係るもの 10問 80点
有害業務に係るもの以外のもの 7問 70点
労働生理 10問 100点
第一種衛生管理者の試験時間
受験者 開始から終了 試験時間
一般 13:30~16:30 3時間
科目免除者 13:30~15:45 2時間15分

特例第一種衛生管理者とは

第二種免許の有資格者は、次の第一種の受験には一部科目が免除されます。

第二種で受験した範囲は試験にはでてきません。

特例第一種衛生管理者の試験科目
試験科目 出題数 配点
労働衛生
(有害業務に係るものに限る。)
10問 80点
関係法令
(有害業務に係るものに限る。)
10問 80点
特例第一種衛生管理者の試験時間
開始から終了 試験時間
13:30~15:30 2時間

衛生管理者の勉強方法

衛生管理者の資格勉強をはじめるには、基本を理解するための参考書がまずは必要です。

基礎知識を身に付けたら、次に問題集や過去問を解いていき、間違えたところを復習して理解を深めていきます。

セミナーや講習会などに参加しなくても、参考書と問題集の繰り返しだけでも第一種衛生管理者は取得できます。

衛生管理者のおすすめの参考書

労働衛生法などをはじめから理解するのは大変なので、覚えるポイントをしぼって解説している参考書がおすすめです。

あまり古い年代のものではなく、法改正にも対応し近年の試験傾向が反映された新しい参考書を選ぶのも重要です。

参考テキストは学習者との相性もあるため、実際に書店などで目を通すほうが失敗は少ないですが、要点がまとまっているのはこちら。

第1種衛生管理者 集中レッスン

第2種衛生管理者 集中レッスン

他の参考書はamazonの売れ筋ランキングが、比較的みつけやすいです。

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衛生管理者の過去問題

衛生管理者の過去問題は、公式サイトで無料公開されています。そのため問題集を買うまえに公式の過去問題を利用するほうがおすすめです。

市販されている問題集のなかには、「実は過去問を再編集しているだけ」といった内容のものもあるので注意しましょう。

二種の過去問題

第二種衛生管理者の過去問題を一部紹介します。すべての問題を解いてみたい方は公式サイトをご覧ください。

関係法令

Q:労働基準法に定める育児時間に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 生後満2年に達しない生児を育てる女性労働者は、育児時間を請求することができる。
  2. 育児時間は、休憩時間とは別の時間として請求することができる。
  3. 育児時間は、原則として、1日2回、1回当たり少なくとも30分の時間を請求することができる。
  4. 育児時間を請求しない女性労働者に対しては、育児時間を与えなくてもよい。
  5. 育児時間は、育児時間を請求することができる女性労働者が請求する時間に与えなければならない。

正解:1

Q:事業場の建築物、施設等に関する措置について、労働安全衛生規則の衛生基準に違反していないものは次のうちどれか。

  1. 事業場に附属する食堂の床面積を、食事の際の1人について、0.5㎡としている。
  2. 男性5人及び女性30人の労働者を常時使用している事業場で、休憩の設備を設けているが、労働者が臥床することのできる休養室又は休養所を男女別 がに設けていない。
  3. 事業場に附属する食堂の炊事従業員について、専用の便所を設けているほか、一般従業員と共用の休憩室を設けている。
  4. 60人の労働者を常時就業させている屋内作業場の気積を、設備の占める容積及び床面から3mを超える高さにある空間を除き600㎥ としている。
  5. 日常行う清掃のほか、1年ごとに1回、定期に、統一的に大掃除を行っている。

正解:4

労働衛生

Q:事務室内において、空気を外気と入れ換えて二酸化炭素濃度を1,000 ppm 以下に保った状態で、在室することのできる最大の人数は次のうちどれか。ただし、外気の二酸化炭素濃度を400ppm、外気と入れ換える空気量を500㎥/h、1人当たりの呼出二酸化炭素量を 0.018㎥/hとする。

  1. 14人
  2. 16人
  3. 18人
  4. 20人
  5. 22人

正解:2

Q:厚生労働省の「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」に基づく措置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. ディスプレイ画面上における照度は、書類上及びキーボード上における照度とほぼ同じ明るさとし、400ルクス程度としている。
  2. 作業室内には、間接照明等のグレア防止用照明器具を用いている。
  3. ディスプレイは、おおむね50cm程度の視距離が確保できるようにしている。
  4. 単純入力型及び拘束型に該当するVDT作業については、一連続作業時間を1時間とし、次の連続作業までの間に5分の作業休止時間を設けている。
  5. VDT作業健康診断では、視力検査などの眼科学的検査のほか、上肢の運動機能などの筋骨格系に関する検査も行っている。

正解:4

労働生理

Q:呼吸に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 呼吸運動は、呼吸筋が収縮と弛緩をすることによって胸郭内容積を周期的に増減し、それに伴って肺を伸縮させることにより行われる。
  2. 胸郭内容積が増し、内圧が低くなるにつれ、鼻腔、気管などの気道を経て肺内へ流れ込む空気が吸気である。
  3. 肺胞内の空気と肺胞を取り巻く毛細血管中の血液との間で行われるガス交換を外呼吸という。
  4. 通常の呼吸の場合の呼気には、酸素が約16%、二酸化炭素が約4%含まれる。
  5. 身体活動時には、血液中の窒素分圧の上昇により呼吸中枢が刺激され、1回換気量及び呼吸数が増加する。

正解:5

Q:消化器系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 三大栄養素のうち、糖質はブドウ糖などに、蛋白質はアミノ酸に、脂肪は たん脂肪酸とグリセリンに酵素により分解されて吸収される。
  2. 無機塩、ビタミン類は、酵素による分解を受けないでそのまま吸収される。
  3. 膵臓から十二指腸に分泌される膵液には、消化酵素は含まれていないが、血糖値を調節するホルモンが含まれている。
  4. ペプシノーゲンは、胃酸によってペプシンという消化酵素になり、蛋白質を消化する。
  5. 小腸の表面は、ビロード状の絨毛という小突起で覆われており、栄養素の吸収の効率を上げるために役立っている。

正解:3

一種の過去問題

第一種衛生管理者の過去問題を一部紹介します。

すべての問題を解いてみたい方は公式サイトをご覧ください。

関係法令(有害業務に係るもの)

Q:次の作業のうち、法令上、作業主任者を選任しなければならないものはどれか。

  1. 鉛蓄電池を解体する工程において人力で鉛等を運搬する業務に係る作業
  2. 屋内作業場におけるアーク溶接の作業
  3. レーザー光線による金属加工の作業
  4. 試験研究業務として塩素を取り扱う作業
  5. 潜水器を用いボンベからの給気を受けて行う潜水作業

正解:1

Q:次の業務に労働者を就かせるとき、法令に基づく安全又は衛生のための特別の教育を行わなければならないものはどれか。

  1. 有機溶剤等を入れたことがあるタンクの内部における業務
  2. 強烈な騒音を発する場所における作業に係る業務
  3. 人力により重量物を取り扱う業務
  4. ガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影の業務
  5. 削岩機、チッピングハンマー等チェーンソー以外の振動工具を取り扱う業務

正解:4

労働衛生(有害業務に係るもの)

Q:次の化学物質のうち、常温・常圧(25℃、1気圧)の空気中で蒸気として存在するものはどれか。ただし、蒸気とは、常温・常圧で液体又は固体の物質が蒸気圧に応じて揮発又は昇華して気体となっているものをいうものとする。

  1. 塩化ビニル
  2. ホルムアルデヒド
  3. 二硫化炭素
  4. 硫化水素
  5. アンモニア

正解:3

Q:厚生労働省の「作業環境測定基準」及び「作業環境評価基準」に基づく作業環境測定及びその結果の評価に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 管理濃度は、有害物質に関する作業環境の状態を単位作業場所の作業環境測定結果から評価するための指標として設定されたものである。
  2. A測定は、単位作業場所における有害物質の気中濃度の平均的な分布を知るために行う測定である。
  3. B測定は、単位作業場所中の有害物質の発散源に近接する場所で作業が行われる場合において、有害物質の気中濃度の最高値を知るために行う測定である。
  4. A測定の第二評価値は、単位作業場所における気中有害物質の幾何平均濃度の推定値である。
  5. A測定の第二評価値が管理濃度を超えている単位作業場所の管理区分は、B測定の結果に関係なく第三管理区分となる

正解:4

記事の執筆者

株式会社クリオ はたら工場マガジン編集部
工場経験者も在籍しているはたら工場マガジン編集部が製造業の気になる情報を発信しています。体験者へのインタビューや工場の仕事の裏側もお見せします。