[最終更新日]  [公開日] 2019/10/7

設備保全とは?工場の保守・保全の仕事内容と役立つ資格

製品の製造・生産を担っている工場の機械が故障してしまうと、全ての工程がストップしてしまったり、事故や工場災害に繋がってしまったりします。

いつでも工場の機械が正常に動くように保守・保全・点検を行っているのが工場の設備保全の仕事です。

工場の設備保全の仕事内容や働くために必要な資格についてご紹介しています。

保全・保守・メンテナンスの意味と違い

工場の機械の点検や整備などを担うお仕事を見てみると、「保全」や「保守」「メンテナンス」などの用語があります。これらの違いについて見てみましょう。

保全とは

保全とは、工場の機械の定期的な点検や整備を行うことです。「設備保全」なら、工場の大型機械などの「設備」を定期的に点検や整備する「保全」のお仕事、という意味があります。保全には、「予防のための保全」と「事後保全」があります。

予防のための保全とは

機械などの工場設備が故障しないように、普段から定期的に点検や修理などを行うのが予防のための保全です。機械が正常に動いているのかの点検や、修理のための部品交換を行います。

部品交換は機械の状況を見て、交換が必要な状態にまで劣化している部品のみを交換する「状態基準保全」と、劣化や具体的な故障が見られなくても、ある一定の期間使用した部品は定期的に交換する「時間基準保全」があります。状態基準保全には部品交換の機会が少ないため、コストが低くなる一方ギリギリまで部品を使用するので機械が故障するリスクが高くなります。時間基準保全のメリット・デメリットはその逆です。機械の状況や大きさに応じて、状況基準保全と時間基準保全を組み合わせて、予防のための保全を行っています。

事後保全とは

事後保全とは、故障してしまった、もしくは故障が疑われる機械の修理を指します。機械の動きが遅くなったり、規格通りの製品ではなく不良品ができる割合が高くなったりした時など、「動いているけれどもいつか故障する可能性がある」状態に対しては、あらかじめ故障しそうな部分の点検や部品交換を行う事で解決します。

一方で、普段通りに動いていた機械が突然止まってしまうなど、事前の予測ができない突発的な故障が起きることがあります。この時に修理を行うのも事後保全のひとつです。

保守とは

保守は保全とほぼ同義で使用される言葉ですが、保全が「機械の故障を未然に防ぐ」ための点検や部品交換に対して、保守は「故障した機械を修理して元の状態に戻す」ための修理作業や部品交換を指すことが多いです。故障してしまった「機械」を元の状態に戻す「保守」のお仕事、という意味合いで「機械保守」などの名称で使われます。

メンテナンスとは

メンテナンスは、保守・保全とほぼ同義です。保守と保全で行う点検や修理、部品交換全てを「メンテナンス」と呼ぶことも多く、あらかじめ決められた点検や部品交換の項目に従って、日常的に作業を行うメンテナンスの仕事が多くなっています。

保全・保守の仕事のメリット・デメリット

工場の保全・保守・メンテナンスのお仕事を探す前に知っておきたい、メリットとデメリットを見てみましょう。

機械の整備が好きな方には適職

普段から自分で自動車やバイクのメンテナンスを行っている人や、電化製品などが故障した時には自分で分解して修理している人など、機械の扱いに慣れている人や、機械整備が元々好きな方には向いているお仕事です。

責任感と達成感が味わえる

工場の製造や生産を担っている機械は、当然人より規模も生産力も大きくなっています。自分より大きな機械が正常に動くために、日々点検や整備を行う仕事は大きな責任感だけでなく、もしも故障の原因となる部品の劣化が事前に発見できた時や、無事に修理できた時には大きな達成感も得られます。

長期的な働き方ができる

保全・保守の技術は担当する機械によって異なります。工場内の社員としてでも、外部から委託されて日々のメンテナンスを担当するにしても、一度機械の保全や保守、メンテナンスに関する技術を身に着けたなら、それを生かして長期的に働けます。正規雇用も多く、未経験者でも契約社員からの正社員登用を採用している求人もたくさんあります。

一人前に働けるまで時間がかかる

機械の保全・保守の仕事は一度技術を手に入れればそれを生かして長期的に働けるメリットがある反面、技術を得るために時間がかかるデメリットがあります。そのため、採用されるとしばらくは先輩や上司と一緒に指導を受けながら技術を身に着けていくので、一人で全てを任せられるまでに時間がかかります。人から指示を受けても苦ではない人や、仕事の進め方やアドバイスを素直に聞き入れられる人には向いています。

保全や保守の資格について

工場の保全・保守の仕事は未経験からでも始められますが、資格もあります。ここでは、持っておくとその後のキャリアアップにもつながる「機械保全技能士」の資格を紹介します。

機械保全技能士とは

工場の機械や設備の保全に必要な知識と技術を対象に実施される検定試験である「機械保全技能検定」に合格すると、「機械保全技能士」を名乗る事ができます。機械保全技能検定は国家技能検定の128職種のうち、「機械保全」にかかる国家試験で、機械系保全作業・電気系保全作業・設備診断作業の3つの選択作業があり、それぞれ特級、1級、2級、3級、基礎級の等級に分かれています。

機械保全技能検定は、「機械保全」に関する職業能力開発促進法に基づく指定機関である「公益社団法人日本プラントメンテナンス協会」が実施しています。受検資格は、特級なら1級合格後5年以上、1級は7年以上、2級は2年以上の機械保全に関する実務年数が必要です。3級以下は実務年数に関係なく受検できます。また、受検に必要な実務経験年数は、学歴や職業訓練受講歴などに応じて短縮できます。さらに、技能検定の実技試験または学科試験の合格者と同等以上の能力があると認められれば、実務・学科試験の免除が受けられます。

試験の方法は以下の通りです。

学科試験
等級(作業) 出題形式・出題数 解答方法 試験時間
特級(-) 五肢択一式 50問 マークシート方式 120分
1級(全作業) 真偽法 25問 マークシート方式 100分
四肢択一式 25問
2級(全作業) 真偽法 25問 マークシート方式 100分
四肢択一式 25問
3級(全作業) 真偽法 30問 マークシート方式 60分
実技試験
作業・等級 実施方法・出題数 解答方法 試験時間
特級 計画立案等作業試験 マークシート方式 150分
10課題(一部記述式)
機械系保全作業 判断等試験 マークシート方式 1・2級 80分
(1・2・3級)1・2級 8課題3級 70分
3級 7課題
電気系保全作業 製作等作業試験 作業採点 110分
(1・2・3級)2課題(一部マークシート方式)
設備診断作業 判断等試験 マークシート方式 1級 100分
(1・2級)1級 10課題2級 80分
2級 8課題

参考:試験要項 | 国家検定 機械保全技能検定

まとめ

工場の大型機械を正常に動かす上で欠かせない、保全・保守の仕事についてご紹介しました。工場のオートメーション化が進み、大型の機械が製造現場でも多く投入されるようになりましたが、機械の故障予防や未然の事故防止のためにメンテナンス作業は欠かせません。

今後も保全・保守・メンテナンスのお仕事は安定した求人が見込める予想になっています。